2007年9月18日火曜日
「あなたになら言える秘密のこと」
この場にそぐわないのではと 悩みましたが、
どうしてもご紹介したい 映画があり、投稿致します。
その前に、ご紹介したいと思った二つの理由を述べます。
一つには、いつも台所に貼っている、
今年の春の朝日新聞の文芸時評欄での、
よしもとばなな氏の著作「チエちゃんと私」についての書評です。
「…とてもうまくは伝えられそうにないが、人間が生きていると、
いろんなことがある。そのうちでも特に悲惨なことを、
人は自分の身に味わうことがある。そのことにどう対するか。
その場合に、正直であるとは、どういうことか。
…人生の中の一番悲惨なことにも添い寝しようという、
ほとんど宗教性と紙一重の覚悟…」。
もうひとつは、長男が東京衛生病院でヘルニア手術をした際、
たまたまぴったりと閉まったガラスの窓の横のベッドになりました。
そのうちに、カーテンから小さな手が出て、コンコン、と叩いて息子と会話の
ようなことをはじめ、顔もしらないその子と友だちになっていきました。
翌日、びったり閉ざされたドアから出てきた女の子は、はっと息を飲む様相で、
あとでアドラが支援しているコソボのベシアナちゃんであることを知りました。
でも、息子はその子の様相に全くおどろかなかったのです。
このふたつから、ぜひ、以下の映画をおすすめしたいと思います。
(レンタルに出たばかりですので)
「あなたになら言える秘密のこと」
(原題「THE SECRET LIFE OF WORDS」)
作品紹介
http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/tymv/id324289/
http://yaplog.jp/tonton119/archive/285
日本語タイトルは、内容からほど遠く、浮かれたところの全くない、
水の底に漂っているような作品でした。
正直なところ、アドラの活動を知ったつもりでいても(献金をしても)、
世界のどこかでなにかが起きているとテレビで見ても、
それは空に浮かぶ雲をつかむようでした。
多少、ネタばれですが、これは、クロアチアとセルビアの民族浄化が
からむ物語で、先のよしもと氏の小説と違い、現実に起きたことを
リサーチし、インタビューして作られたものです。
ちょうど、1年前の博多での3児を飲酒運転で無くした方の
第4子のお産の様子をニュースで拝見してどうどうと涙し、
録画していた阪神淡路大震災の孤児の方が、帝王切開で
お産したあと、「パパママにあいたい」と叫ばれた様子を拝見して
慟哭し、その後にこの映画を見ましたら、衝撃のあまり
立ち上がれませんでした。(更に腹痛も起きました)。
映像が汚いとか、扇情的であるとか、残酷であるわけではありません。
(E.G.ホワイトも描かれているように残酷すぎるものは毒があります)
最も残酷であるのは、人間であり、その傷と再生についてのお話でした。
人間によってつけられた傷を人間と共に癒していき、でも、
癒せない部分があり…その先に神様の介在があると信じます。
十数年前、自分は何をしていたのか、同じ女性に何が起き、
私はそれを知らなかったのか、どれだけの子供たちが想像を
絶する苦しみを味わったのか、知った今、私は自分に何を問うのか、
自分の子供になにを望むのか、深く深く考えました。
そして、今も世界のどこかで、同じ現実がある、ということを
考えなくてはいけないということ。
連休の多いこの月におすすめしたいと思います。
(2007年度、ミニシアター系ベスト1の呼び声が高い映画です)
今治 けろちゃん
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