「最上のわざ」
この世の最上のわざは何?
楽しい心で年をとり、
働きたいけれども休み、
しゃべりたいけれども黙り、
失望しそうなときに希望し、
従順に、平静に、おのれの十字架をになう・・。
若者が元気いっぱいで神の道をあゆむのを見ても、ねたまず、
人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり、
弱って、もはや人のために役だたずとも、親切で柔和であること・・。
老いの重荷は神の賜物。
古びた心に、これで最後のみがきをかける。まことのふるさとへ行くために・・。
おのれをこの世につなぐくさりを少しずつはずしていくのは、真にえらい仕事・・。
こうして何もできなくなれば、それを謙遜に承諾するのだ。
神は最後に一番よい仕事を残してくださる。それは祈りだ・・。
手は何もできない。けれども最後まで合掌できる。
愛するすべての人の上に、神の恵みを求めるために・・。
すべてをなし終えたら、臨終の床に神の声をきくだろう。「来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ」と・・。
ヘルマン・ホイヴェルス(林幹雄 編)
『人生の秋に』、春秋社、1969年。
0 件のコメント:
コメントを投稿