「年輪」
私は樹木の年輪をみて
わが生涯の年輪を思う。
幸福な人生の春には
のびのびと成長し、
厳しい試練の冬には
ちぢこまった痕を残し、
年ごとに層を加え、
数えてみれば
六十にあまる
同心の円輪である。
少年の日、
水に溺れようとして
友に助けられ、
青年の頃胸を病んで
人生に望みを失った時、
キリストによって救われた。
戦いはげしい時には、
爆弾や焼夷弾が
雨のように降る都心に住んでいたが、
奇跡的に生き残された。
ああ主よ!
私の時はあなたのみ手にあります。
私はかって無価値な一本の苗木にすぎなかった。
だが今、
いささか価値ある僕であるとするならば
それは全く
年輪を重ねることをゆるして下さった
主の恩寵の故なのである。
松田明三郎
(あけみろう) 作
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