お礼拝の子どもの話しで、
クリスチャン童話作家のマックス・ルケードの
川のたとえ話を日本人風にアレンジして、お話させていただきました。
昔、ある山の中に大きなお城がありました。
王様とその息子が5人、そこに住んでいました。
長男の一郎兄さんはたいへん真面目で優しい人、立派な息子でした。
ところが、あとの4人の息子、二郎、三郎、四郎、五郎が
だいぶいい加減な子どもたちでした。
お父さんからは、いつも、
「流れているあの川に気をつけろ」と言われていました。
長男の一郎兄さんの他4人の息子たちは、川が気になって、気になって、
とうとう、一人が川の水に手を触れようとしました。
残りの3人は、お互いに手を取り合い、
最後の一人が木の枝につかまっていました。
ところが一人が川の水に手を入れた瞬間、足元がすべってしまいました。
激しい川の流れになんと、4人とも一緒に流されてしまいました。
4人は、流され、流され、とうとう、山のふもとの土手に流れ着きました。
命があったのが奇跡です。
そこは作物のそだたない荒れた土地、
寒くて、冷たい風が吹き付ける土地でした。
そこに住む人々は、乱暴で、悪いことばかりを考えていました。
山の上の故郷とは似ても似つかない場所でした。
ところが故郷へもどろうとしても、山に登るには道は険しすぎます。
道もわかりません。4人はしかたなく小屋を立て、獣を取り、
木の実を食べて、なんとか暮らしました。
4人は夜になると、焚き火をして、自分たちのしたことを反省しては、
故郷のお兄さんとお父さんの話をして、互いになぐさめあいました。
ところが、ある日、次男の二郎君がいなくなりました。翌日、
残った3人は、二郎君が土地の人たちとお酒を飲んでいるのを見つけました。
次郎さんは3人に言いました。
「いつまでも故郷のことを話したってなんになるんだ。
もう、故郷には帰れっこない。ここが故郷さ、ここに俺は大きな家を建てるんだ。
お父さん?お父さんは迎えに来てはくれないさ。
お父さんのことは忘れて、ここで面白おかしく過ごすんだ」。
しかたなく、残った3人は毎日夜になると焚き火をして
お父さんと長男のことを話していました。
ところが、またある日、今度は、三男の三郎君が姿を消しました。
どうしたんだろう・・・ 残った二人は翌日、
次郎兄さんを監視している三郎君を見つけました。
双眼鏡を片手にノートに何かを書いています。
「三郎兄さん、何しているの?」
「次郎兄さんはとんでもないことをしている。お酒を飲んだり、
バカ騒ぎをしたり、すっかりお父さんやお兄さんのことを忘れている。
けしからん。僕はこうして、二郎兄さんのしていることを監視しているんだ」。
「でも、三郎兄さんだって、
お父さんの言いつけをやぶって川に流されてきたんじゃない。
人のことは言えないよ」。
「いやいや、僕の犯した間違いなんて、
あの二郎兄さんのやっていることに比べたらたいしたことじゃない。
ぼくは、ここで朝も夜も昼も、監視して、二郎兄さんのノートに悪行を書きとめ、
いつか、お父さんに言いつけてやるんだ。
だから、僕のことはもう、かまわないでくれ」。
しかたなく、残った2人は、
毎日夜になると焚き火をしてお父さんと長男のことを話していました。
ところが、またまたある日、今度は、4男の四郎君が姿を消しました。
どうしたのかと思ったら、四郎君は、川に石を積んでいます。
末っ子の五郎君が聞きました。「何しているの?」
すると四郎君は
「川に石を積んでお父さんの住んでいる山の上まで道を作ろうと思って」
「むりでしょう。だって、石を積んだそばから、川の勢いで流されているよ」。
「できるさ。自分の力でやりとげるんだ。こうでもしなければ、
お父さんは自分をゆるしてくれないよ」。
とうとう、小屋に残ったのは末っ子の五郎君だけになってしまいました。
その夜も一人で焚き火をしながら、
お父さんと長男の一郎兄さんのことを思い出していました。
すると、そこに、一郎兄さんが現れました。間違いありません。
それは正真正銘の一郎兄さんでした。
「君たちを迎えに来たよ。後の3人はどこにいるの?」
「3人のお兄さんたちは・・・」
五郎君は翌日、一郎兄さんを3人のお兄さんたちの所へ案内しました。
「二郎兄さん、一郎兄さんが僕たちを迎えに来てくれたよ。」
「あっちへ行け!」「迎えにきたんだよ」
「うそつけ、兄さんは俺の豪邸を乗っ取りに来たんだろう」
「これは豪邸なんかじゃない、小屋だよ。お父さんの家を覚えているだろう?」
「俺にはお父さんなんかいない」。
土地の人たちも出てきて、「そうだ、そうだ、二郎、あんなやつにだまされるな!
あっちへいっちまえ!」二郎兄さんは一郎兄さんの言葉より、
土地の人々の言葉を信じました。
次に一郎兄さんと五郎君は、三郎兄さんのところに行きました。
「あ、一郎兄さんかい?いいところに来た、
ここからだと二郎兄さんの罪が良く見えるよ。あいつを裁いてやってよ」。
一郎兄さんは、やさしく言いました。
「それよりも、まず、君自身の罪を問題にしなくてはならないよ」
「僕の罪?」「そう、君がお父さんの言いつけを守らずに川に流されたことさ」。
「何言ってるの、僕の罪なんて、なんともないよ。罪人はあっちにいるんだよ。
ゆるせないよ。僕は山へは帰らない。
ここにいて、二郎兄さんの悪行を記録しておかなければならないからね」。
次に一郎兄さんと五郎君は、四郎兄さんのところに行きました。
「迎えにきたよ」。
「今は忙しくて一郎兄さんと話している暇はないよ」
「もう、そんなことをしなくても、一緒に家に帰ろう」。
「駄目だよ、お父さんは僕のことを赦してくれるわけないさ」
「赦してくれたから、僕をここに送ったんだよ。
君はお父さんの恵みによって赦されたんだよ」
「そんなことはない。僕は自分の力で道をつくらなくちゃ。
ほら、もう石を5個も積むことができた」
「そんなんじゃ無理だ」
「たとえ無理でも、そうしなくちゃ、お父さんは赦してくれない、
そうか、お前は悪魔だな、僕の仕事をじゃましようとして・・・出て行け!」
好き勝手に生きることを選んだ二郎兄さん、
人をさばくことを選んだ三郎兄さん、
自分の努力で家に帰ろうとした四郎兄さん。
三人ともお父さんと一郎兄さんを選びませんでした。
五郎君は一郎兄さんに尋ねました。
「僕たちはお父さんのところへ戻るんでしょ?」
「そうだよ」
「お父さん赦してくれるかな?」
「赦してくれなかったら、僕をここによこしたりしないよ」。
五郎君は一郎兄さんの背中におんぶしてもらいながら、
山の上の家まで連れていってもらいました。
山の上のお父さんはどなたのことでしょう?
助けに来てくれた一郎兄さんはどなたでしょう。
お父さんは神様、一郎兄さんはイエス様ですね。
私たちは、天のお父様、神様のことを忘れてはなりません。
また、人の罪や間違いばかりを探して、自分も罪を犯したこと、
その罪をイエス様に赦してもらっていることを忘れてはなりません。
また、自分の力と行いに頼って、神様の愛と赦しを忘れてはなりません。
私たちは天の神様が与えてくださる愛と赦し、
イエス様のお招きをそのまま受取りましょう。
そしてみんなで神様の子供となりましょう。
(by 藤田 昌孝)
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